5分でわかる近代世界史
1700年から1918年までの約200年は、世界のしくみが大きく入れかわった時代です。アメリカ・フランス・ハイチ・ラテンアメリカで革命が起こり、「国の主人は王ではなく国民だ」という考え方が広がりました。同じころイギリスで産業革命が始まり、工業化した国々は、世界のほかの地域を大きく引きはなす力を手にします。その力が国内では国民国家づくり(ナショナリズム)に、国外では植民地の獲得(帝国主義)に向かい、列強の対立は最後に第一次世界大戦(第1次世界大戦)へ行き着きました。
共通テスト世界史でこの時代が問われるとき、ほとんどの問題はこの「つながり」のどこかを聞いています。このページは近代史の勉強の入り口です。時代全体の流れを物語としてくわしく読みたい人は、近代世界史1700〜1918年のまとめから読んでください。ここでは、試験で何が問われ、どう復習すればよいかに集中します。
覚えておくキーワードは4つです。「革命」「産業」「国民」「帝国」。それぞれが次の段階をどう生んだのかを説明できれば、近代史の骨組みはもうつかめています。
原因:1700年ごろの世界
1700年ごろ、強い国はヨーロッパだけにあったわけではありません。中国は清、インドの大部分はムガル帝国、バルカン半島からアラビア半島まではオスマン帝国が支配していました。日本は江戸幕府のもとで、外国との貿易をきびしく制限していました。ヨーロッパではフランスのルイ14世のような絶対王政の君主が強い力をもつ一方、イギリスでは名誉革命のあと、議会が国王の力をおさえるしくみができていました。
このころ、すでに3つの動きが始まっていました。1つ目は大西洋の三角貿易です。ヨーロッパ・アフリカ・南北アメリカが結ばれ、奴隷とされたアフリカの人々の労働が、砂糖や綿花のプランテーションを支えていました。2つ目は啓蒙思想です。科学革命の影響を受けて、ロック、モンテスキュー、ルソーらが「政府は人々の権利を守るためにある」と論じました。3つ目はイギリスとフランスの植民地争いです。七年戦争(1756〜63年)は両国に大きな借金を残し、その借金をどう返すかが、次の時代の革命の引き金になります。
何が起きたか:革命・産業化・帝国主義
市民革命の時代
イギリスは七年戦争の費用をまかなうため、北アメリカの植民地に新しい税をかけました。植民地の人々は「本国の議会に代表を送っていないのに課税されるのはおかしい」と反発し、1776年に独立宣言を発表します。啓蒙思想が、国の土台となる文書に書きこまれた瞬間でした。
フランスでも財政は行きづまっていました。1789年、国王ルイ16世は三部会を開きますが、第三身分は自分たちこそ国民議会だと宣言し、7月14日にはパリの民衆がバスティーユ牢獄を襲撃します。革命は封建的特権を廃止し、人権宣言を出し、やがて国王を処刑しました。その後、ナポレオンが戦争を通じて革命の理念をヨーロッパ中に広めますが、1815年に最終的に敗れます。
革命の考え方はヨーロッパの外にも伝わりました。1791年、フランス領サン=ドマングで奴隷とされた人々が立ち上がり、1804年にハイチとして独立します。奴隷の反乱から生まれた初めての国です。1810年代から1820年代にかけては、シモン・ボリバルらの指導で、スペイン領アメリカの多くの植民地も独立しました。
産業革命
18世紀後半、イギリスの綿工業は家内工業から工場生産へ移り、動力も水車から蒸気へと変わりました。ワットが改良した蒸気機関(1769年に特許)は、工場・炭鉱・鉄道・蒸気船を動かす中心になります。19世紀には工業化がベルギー、フランス、ドイツ、アメリカへ、世紀の終わりにはロシアや日本へと広がりました。工場で働く労働者という新しい階級が生まれ、都市は人であふれます。こうした問題にどう向き合うかをめぐって、自由主義、社会主義、マルクスの共産主義が生まれ、労働組合や工場法などの改革も進みました。
国民国家の形成
1815年のウィーン会議は、革命前の古い秩序を取りもどそうとしました。しかし1848年にヨーロッパ各地で革命が起こり(「諸国民の春」)、自由主義とナショナリズムの力がもうおさえられないことが明らかになります。イタリアは1861年に王国として統一され、ドイツは1871年に帝国として統一されました。ヨーロッパの外では、日本が1868年の明治維新によって西洋の工業・学校・軍隊のしくみを取り入れ、植民地にされない道を選びます。オスマン帝国のタンジマートや清の洋務運動のような改革も行われましたが、日本ほどの成果はあげられませんでした。
帝国主義の時代
工業国は原料と市場を求めました。蒸気船、電信、マラリアの薬キニーネ、機関銃によって、遠い地域を征服する費用は大きく下がります。イギリスはアヘン戦争(1840〜42年)で清を破り、南京条約で港を開かせました。インドでは1857年のインド大反乱のあと、イギリス政府が直接支配に乗り出します。1884〜85年のベルリン会議では、ヨーロッパ諸国がアフリカを分け合うルールを決め、1914年までにアフリカのほぼ全体が列強の支配下に入りました。独立を守ったのは、1896年のアドワの戦いでイタリアを破ったエチオピアと、リベリアです。支配された人々も、武力による抵抗から改革運動、民族運動まで、さまざまな形で立ち向かいました。
1914年への道
1907年までに、列強は2つの陣営に分かれていました。ドイツ・オーストリア=ハンガリー・イタリアの三国同盟と、フランス・ロシア・イギリスの三国協商です。軍拡競争、植民地をめぐる対立、そしてバルカン半島の民族問題が重なり、バルカン半島は「ヨーロッパの火薬庫」と呼ばれるようになりました。1914年6月28日、サライェヴォでオーストリアの帝位継承者夫妻がボスニア出身のセルビア人青年に暗殺されると、同盟関係が次々に連鎖し、世界大戦へと広がります。戦争そのものの流れは第一次世界大戦のまとめでくわしく解説しています。
結果:1918年の世界
1918年11月11日の休戦で戦争は終わりました。ドイツ、オーストリア=ハンガリー、ロシア、オスマンという4つの帝国が、倒れるか、倒れる寸前でした。ロシアでは1917年の革命によって、世界で初めての社会主義国家が生まれます。アメリカと日本は国際的な地位を高め、イギリスとフランスは疲れきり、多額の借金をかかえました。「民族自決」の考え方はアジア・アフリカ・中東の民族運動をはげましましたが、講和の結果、植民地支配の多くはそのまま残りました。この不満が、世界恐慌、ファシズム、第二次世界大戦、そして戦後の脱植民地化という、次の時代の問題につながっていきます。
試験に出るポイント
共通テスト 世界史(歴史総合,世界史探究)
2025年から、共通テストの世界史は「歴史総合,世界史探究」という科目になりました。試験時間は60分、配点は100点です。日本と世界の近現代史をあわせて学ぶ歴史総合も出題範囲に入るため、19世紀の日本と欧米・アジアのつながり(開国、明治維新、日清・日露戦争など)がこれまで以上に大切になっています。2027年の本試験は1月16日・17日で、地理歴史・公民は1日目に行われます。
問題は、地図・グラフ・史料・生徒どうしの会話文などをもとに作られています。年号や人名をそのまま答えさせるより、「この資料からわかることは何か」「この出来事の背景として正しいものはどれか」を考えさせる問題が中心です。近代史でとくにねらわれやすいのは、次のようなテーマです。
- 革命の比較:アメリカ独立革命・フランス革命・ハイチ革命・ラテンアメリカの独立で、「誰が」「何のために」立ち上がったかの違い。
- 産業革命の影響:なぜイギリスで始まったのか、どんな社会問題が生まれ、どんな思想(社会主義など)が答えようとしたのか。
- アジアの近代化の比較:日本の明治維新、清の洋務運動、オスマン帝国のタンジマートの共通点と違い。
- 帝国主義と抵抗:アフリカ分割、インド大反乱、アヘン戦争と不平等条約。
- 第一次世界大戦の原因:三国同盟と三国協商、バルカン問題、総力戦への移り変わり。
年号の語呂合わせでは、フランス革命の「人の世むなしフランス革命(1789年)」がよく知られています。ただし、語呂合わせで覚えた年号は、前後の出来事と結びつけてはじめて得点につながります。並べかえ問題に強くなるには、軸になる年号のまわりに、ほかの出来事を置いていく覚え方が効果的です。
AP World History(アメリカの大学先修科目)
アメリカの高校生が受けるAP World History: Modernでは、この時代は全9単元のうち単元5「革命」と単元6「工業化の結果」(どちらも1750年ごろ〜1900年)にあたり、それぞれ試験の12〜15%をしめます。第一次世界大戦は単元7で扱われます。試験は選択問題55問、短い記述3問、資料をもとに書く論述(DBQ)1問、長い論述1問という構成です。APUSH(アメリカ史)やAP European History(ヨーロッパ史)でも、同じ時代が大きな比重をしめます。日本の共通テストとAPに共通しているのは、「比較」「因果関係」「変化と継続」という3つの見方で歴史を説明する力が求められている点です。
共通テスト 世界史の勉強法
- まず骨組みをつくる:このページの年表にある12の出来事を覚え、それぞれ「なぜ大事か」を1文で言えるようにします。
- 因果をくさりでつなぐ:出来事ごとに、原因を1つ、結果を1つ書き出します。「七年戦争の借金 → 植民地への課税 → アメリカ独立革命」が基本の形です。
- 地域をまたいで比べる:同じ19世紀に、日本・清・オスマン帝国がそれぞれ近代化に取り組みました。結果がなぜ違ったのかを説明できると、比較問題にも強くなります。
- 資料に慣れる:1日1つ、教科書や資料集の史料・グラフを見て、「いつ、誰が、何のために作ったか」を考え、どの時代の話かを結びつけます。
- 時間を計って過去問を解く:60分を計って過去問を解き、まちがえた問題は教科書のどこに書いてあるかまでもどって確認します。
文化史も忘れずに確認しましょう。ロマン主義や写実主義など、19世紀の美術・文学は、時代の変化と結びつけると覚えやすくなります。くわしくは19世紀の美術と文化のまとめを読んでください。
次に読む
- 近代世界史1700〜1918年:革命・産業・帝国・戦争:この時代全体の流れと、各テーマのページへの入り口です。
- 第一次世界大戦(1914〜1918年):原因・経過・結果:1つの暗殺事件が、4つの帝国を倒す大戦争になった理由がわかります。
- 19世紀の美術と文化:ロマン主義からベル・エポックまで:革命と産業化の中から生まれた芸術と思想を紹介します。