0% • 残り5分
時計じかけのオレンジ(A Clockwork Orange)

時計じかけのオレンジ(A Clockwork Orange)

Anthony Burgess 著

『時計じかけのオレンジ』は、アントニイ・バージェスが1962年に発表した小説です。語り手は、暴力に明け暮れる15歳の少年アレックスです。彼は作中の若者言葉「ナッドサット」で、残酷な出来事を明るく語ります。捕まった彼は、暴力に吐き気を覚えさせる国家の治療を受けます。この小説は、善い行いを選ぶ力を失った人間に価値はあるのかを問いかけます。

5分で読める
1962
中級

核心的なアイデア

"暴力に吐き気を覚えるよう条件づけられた少年を通して、『時計じかけのオレンジ』は善とは何かを問いかけます。自由な選択がなければ、人は善人といえるのでしょうか。"

重要な洞察

1

選ぶ自由と善

本作の中心にあるのは、選べないまま行われた善に意味があるのか、という問いです。第2部で教誨師は、選べなくなった人は人でなくなると語ります。一方、治療を進める側が気にするのは結果だけです。作者は簡単な答えを示しません。ただ、選ぶ力を奪う方法は、更生のように見えても大きな代償を伴うことを、読者に感じさせます。

例

治療後のアレックスは暴力を避けられますが、それは痛みのせいで、ほかの道が耐えがたくなっているからです。

2

国家が描く更生

国家はアレックスを一人の人間として理解しようとするより、成功例として見せることを優先します。更生は、新聞や大臣の記者会見によって評価される広報の出来事になっていきます。その治療が誰の利益になっているのかを、読者は問わずにはいられません。

例

第3部で内務大臣は、記者の前でアレックスと握手し、ステレオを届けさせます。

3

大人になること

作者は小説を全21章にまとめ、最後の章でアレックスを十八歳まで進めます。本作は、アレックスの変化が国家による条件づけではなく、本人の成長から生まれたことを示唆します。最後の章も、希望と不安が同居したまま終わります。

例

十八歳のアレックスは仲間から距離を置き、家族をもつ将来を思い描きますが、自分の子どもが同じ道を歩むかもしれないと心配します。

4

ことばと暴力

ナッドサットは、暴力に遊び心のある表面を与えます。語り手が陽気で賢く見えるため、読者は本来なら目をそむけたくなる場面を楽しんでしまうことがあります。その居心地の悪さこそ、作者が仕掛けた大切な道具です。

例

第1部第1章で、老人への襲撃が軽快な語り口で描かれるため、読者はそれを簡単に突き放せなくなります。

章ごとの解説

章ごとのあらすじ

※ここから結末までのネタバレを含みます。

第1部 第1章 ミルク・プラスと覆面の襲撃

十五歳のアレックスは、仲間のピート、ジョージー、ディムとともに、コローヴァ・ミルクバーで、薬の入ったミルク「ミルク・プラス」を飲んでいます。一行は、図書館からの帰り道らしい年配の男性を襲い、金を奪います。その金で、酒場にいる酔った老婦人たちに飲み物をおごります。アリバイの証人になってもらうためです。その後、歴史上の人物の精巧な覆面をかぶって、たばこと菓子を売る小さな店に押し入り、店主の妻に大けがを負わせます。アリバイは通り、一行は捕まりません。この章は、アレックスが残酷な出来事を明るい口調で語るという、本作の基本の仕掛けを示しています。読者はその落差と向き合うことになります。

第1部 第2章 「HOME」の札がかかった家

一行は、ビリーボーイの率いる別の一味と争います。そこへ警察のサイレンが近づき、みな散り散りに逃げます。その後、車を盗み、田舎道を荒っぽく走らせて動物をはねます。「HOME」と書かれた門のある家にたどり着くと、アレックスは丁寧な口調で、友人が外で倒れたと嘘をつきます。作家の妻が水を取りに行き、玄関の鍵を開けたままにすると、一行は覆面をかぶって中に入ります。作家を殴りつけ、その妻を性的に暴行します。立ち去る前に、アレックスは作家の原稿『時計じかけのオレンジ』を嘲笑し、破り捨てます。作品の題名が初めて現れるのは、アレックスが壊すものとしてです。この作家は、あとでアレックスの人生に再び関わってきます。

第1部 第3章 電車と壊れた友情

一行は、ガソリンが切れた盗んだ車を乗り捨て、電車で町へ戻ります。車内では座席の布地を引き裂き、ひどく壊します。コローヴァに着くと空気は険悪になります。ディムが下品な冗談を言い、アレックスはその口を殴ります。ディムは、もうおまえとは友だちでいたくないと言い返します。アレックスは、仲間の間でも誰かが仕切るべきだと譲りません。ピートは、殴ったのはひどいと言います。最後にディムが争いをやめようと言い、一行は翌日の夜に同じ場所で会うことを決めます。リーダーの座をめぐる口論が、仲間が割れていく最初の兆しです。

第1部 第4章 デルトイ氏と二人の少女

翌朝、アレックスは体調が悪いと言って学校を休みます。「矯正後の保護観察官」のP・R・デルトイが訪ねてきて、問題を起こさないよう忠告します。アレックスは聞き流し、暴力的な記事だらけの新聞を読みます。若者の犯罪は悪魔のせいだと書いた聖職者の記事にも賛同します。その後、ベートーヴェンの交響曲第9番を買いにレコード店へ行き、そこで十歳の少女二人と出会います。彼は少女たちを両親の住む団地に連れて行き、たくさんのスコッチを飲ませて、二人に性的暴行を加えます。この章は、ベートーヴェンを愛する少年が、現実の残酷さを同時に抱えていることを示しています。本作はこの矛盾を問い続けます。

第1部 第5章 リーダーの座をめぐる争い

アレックスは両親に、夜の仕事は雑用だったと言い訳します。団地の階段の下では仲間が待っています。ジョージーが彼のリーダーぶりをからかい、ピートは、仲間は全員が意見を言える「新しいやり方」を望んでいると説明します。通りかかった車からベートーヴェンの曲が流れると、アレックスは激しい衝動に駆られ、かみそりでジョージーの手を切ります。ディムが鎖で打ちかかると、アレックスはディムの手首を切り、ポケットの布で傷を縛って、リーダーとしての立場を示します。そこへジョージーが、「マンス」と呼ばれる猫好きの老婦人の家を襲う計画を持ち出します。主導権をめぐる争いが、アレックスを刑務所送りになる犯罪へ押しやるのです。

第1部 第6章 猫のいる家

一行は「マンス」と呼ばれる大きな家にたどり着きます。格子のはまった窓の奥には、猫を大勢飼う老婦人がいます。一行は、友人が倒れたという作り話で玄関まで行きますが、老婦人は、出て行かなければ撃つと脅します。仲間に勇気を見せたいアレックスは、ひそかに一人で家に押し入ることを決め、窓から忍び込みます。老婦人は杖を手に彼に詰め寄り、猫たちが襲いかかります。アレックスは手近な重い物で老婦人を殴り、彼女は動かなくなります。サイレンが鳴ると、ディムが鎖でアレックスを打って逃げ去ります。残されたアレックスは、廊下で警察に見つかります。この章は、アレックスの虚栄心と仲間の裏切りが、一人の死へつながる過程を描いています。

第1部 第7章 取り調べ

警察署で、アレックスは弁護士を呼ぶよう求めますが、警官たちは笑い、彼を殴ります。デルトイ氏が現れ、彼を少年ではなく物として見て、顔に唾を吐きかけます。圧力に屈したアレックスは、罪と仲間の名前を書いた供述書を作成し、署名します。留置場では二人の囚人が彼に襲いかかろうとしますが、警官が止めに入ります。やがて彼は、老婦人が病院で亡くなったことを知ります。十五歳で殺人を犯したのだと、彼は自分で認めます。この章では、社会がアレックスを理解すべき人間としてではなく、管理すべき問題として扱うことが示されます。

第2部 第1章 ステイジャの二年間

逮捕から二年後、アレックスは「ステイジャ」と呼ばれる国の刑務所から語ります。彼は十四年の刑に服しており、看守の暴力や、ほかの囚人からの嫌がらせにさらされています。ジョージーが失敗に終わった強盗の最中に命を落としたことは、両親から聞かされています。アレックスは聖書に熱心なところを見せて教誨師の信用を得て、日曜の礼拝を手伝うようになります。やがて、刑期をすぐに終わらせ、再犯も防ぐ方法があると聞き、教誨師に尋ねます。教誨師はそれが「ルドヴィコ療法」で、まだ試されていない方法だと教え、懐疑的な態度を見せます。善とは選びとるものであり、選べなくなった人は、もう人とはいえないと語るのです。この会話が、第2部全体の問いをはじめて示します。

第2部 第2章 新しい同房者

新しく入ってきた囚人が、アレックスは若いから床で寝ろと言い、ベッドを要求します。同房の仲間はアレックスの側につきます。その夜、アレックスは自分のベッドに潜り込んでいる新入りに気づき、殴りつけます。ほかの囚人も加わり、看守が駆けつけると新入りは大けがをしています。夜のうちに囚人たちがまた暴行を加え、翌朝、新入りは死んでいます。同房の仲間はアレックスに責任があると非難し、所長は刑務所を封鎖します。当局者たちは、犯罪への「治療的な」取り組みを話し合い、その一人が、アレックスをブロドスキーのもとへ送ってはどうかと提案します。この死は、国家が新しい方法を試す口実になるのです。

第2部 第3章 同意書と医療施設

所長はアレックスに、前日に会った訪問者が新任の内務大臣だったと告げます。アレックスはブロドスキー博士のもとで「更生治療」を受け、二週間後に釈放されることになります。所長は、これはごほうびではないと念を押し、アレックスは同意書に署名します。そのあと教誨師が、アレックスと二人だけで話をします。教誨師は、この治療には反対だと言い、無理やり善人にされた人間を神は評価するのだろうか、と疑問を口にします。そして、ひどく動揺した様子を見せます。翌朝、アレックスは刑務所の近くにある新しい医療施設に連れて行かれます。ブロドスキーの助手のブラナム博士が、治療は映像と一連の注射で行うと説明しますが、注射の中身については言葉を濁します。アレックスはたっぷり食事をとり、自由の身になったら新しい仲間をつくろうと考えます。そこへ看護師が注射を打ち、彼は妙に力が抜けるのを感じます。この章では、アレックスが同意したのは出たい一心からであることが、読者にもわかります。

第2部 第4章 最初の映画

アレックスは椅子に縛りつけられ、まぶたを押さえられたまま、暴力的な映像を見せられます。ブロドスキー博士は反応を注意深く見守り、満足そうです。アレックスが吐き気と痛みに苦しみはじめても、それは気のせいだと言われます。医師たちは、彼の苦しみを治療がうまくいっている証拠として扱います。この章は、治療が最初の場面から残酷であり、読者がその実験を苦しむ身体を通して見ることになることを示しています。

第2部 第5章 一日二回の上映

治療は続き、午前と午後に映像を見せられます。具合が悪く疲れ果てたアレックスは、体につけられた電線や画面のせいで苦しいのだと考えます。見せられる映像の最もひどい部分は、書きたくないと語ります。治療が働きかけるのは、彼が行動する理由ではなく、身体の反射なのです。

第2部 第6章 ルードヴィヒ・ヴァンと注射

医師たちは、ナチスの戦争犯罪の映像に、ベートーヴェンの音楽を重ねた映画を見せます。アレックスは吐き気と怒りに襲われ、ルードヴィヒ・ヴァンをそんなふうに使うのは罪だと叫びます。ベートーヴェンは誰にも害を与えていないからです。そして嘔吐します。医師たちは驚き、治療がベートーヴェンの音楽と吐き気を結びつけてしまったのではないかと考えます。ブロドスキーはアレックスに、注射は暴力と吐き気を結びつけて条件づけるためのものだと告げます。アレックスは抗議し、反省したふりをしますが、ブロドスキーは信じません。注射を逃れようと看護師を殴ると、係員たちに押さえつけられます。注射をされなかった朝も、効き目が血の中に残っていることに気づきます。その夜、彼は苦しむふりをして叫び、係員が入ってきます。アレックスは襲いかかろうとしますが、相手を傷つけることを思うだけで吐き気に襲われ、逆に殴られます。この章は、治療の仕組みをアレックス自身の語りで説明しています。

第2部 第7章 卒業の日

治療の最終日、アレックスは取り上げられていた服や持ち物を返され、所長、教誨師、内務大臣、医師たちの前に出されます。大柄な俳優が現れて彼を侮辱し、殴り返してみろと挑発します。アレックスはやり返そうとしますが、吐き気に圧倒されます。かわりにはいつくばって、男の靴を磨かせてくれと申し出ます。次に若い女優が連れてこられ、アレックスは彼女を崇め、守ると言います。教誨師は、アレックスには本当の選択がなく、善意ではなく痛みへの恐れが彼を動かしていると異を唱えます。ブロドスキー博士は満足げで、アレックスは、もう一方の頬を差し出す模範的なキリスト教徒になったと言います。この章は、国家の成功が別の形の残酷さに見えてくることを示しています。

第3部 第1章 団地18Aへの帰宅

釈放の翌朝、アレックスは白い建物の外に立ちます。取材と撮影に疲れ果てた彼の目に、新聞が入ります。そこには自分の写真が載り、内務大臣はこの新しい仕組みをたたえています。両親の団地へ行くと、ジョウという間借り人が彼の部屋に住んでおり、ステレオとレコードはなくなっています。アレックスは、自分が離れていた世界に、もう居場所がないことを知ります。この章は、少年が社会の見せしめにされ、自分の家さえ自分のものではなくなったことを示しています。

第3部 第2章 レコード店と図書館

アレックスは、以前通っていたレコード店を訪ねます。今は生意気な少年が店を仕切っており、彼をからかいます。試聴ブースで、あれほど好きだった音楽を聞くと吐き気を覚え、治療がそれを台無しにしたことを知ります。その後、彼は公共の図書館へ行き、苦しまずに命を絶つ方法を探します。慰めを求めて聖書を手に取りますが、それも彼の心を乱します。そこへ、以前彼に殴られたという老人が気づき、仲間の老人たちが殴りかかります。警察が来るまで暴行は続きます。この章は、かつての被害者たちが反撃する場面です。

第3部 第3章 パトカー

警官たちが、老人たちからアレックスを引き離します。そのうち二人は、かつての敵ビリーボーイと元仲間のディムです。彼らはアレックスをパトカーの後部に押し込み、からかいます。ディムは、ピートが誰だったか忘れたふりをします。田舎の静かな場所に着くと、二人はまた彼を殴り、町の外に置き去りにして走り去ります。雨が降りだすと、アレックスは起き上がって歩き出します。秩序を守るはずの者たちが、かつて彼を傷つけた人々だったという皮肉が、この章の要点です。

第3部 第4章 風呂と夕食

雨の中を歩いたアレックスは、「HOME」の門のある家にたどり着き、戸を叩きます。警察に殴られて置き去りにされたと話すと、中年の作家F・アレクサンダーは彼を暖炉のそばに招き入れ、ウイスキーを勧め、風呂と寝間着、そして夕食を用意します。夕食のあいだに、作家はアレックスが誰かを知っていると明かします。新聞で彼の写真を見ていたのです。作家はルドヴィコ療法を残酷だと非難し、アレックスから選ぶ力を奪ったと言い、政府を倒す手助けを求めます。やがて、自分の妻に起きたことを語り始めます。この章は、アレックスを政治の象徴に仕立てる計画の始まりを示しています。

第3部 第5章 本人のいないところで決められた計画

翌朝、F・アレクサンダーは何時間も電話をかけ続けており、アレックスの名前で発表する予定の、更生治療を攻撃する記事を書き上げています。アレックスは、襲撃の夜を覚えているとわかる言葉をうっかり口にし、アレクサンダーは疑いを抱きます。三人の政治仲間が現れ、アレックスに何の得があるかは言わないまま、彼をどう使うかを話し合います。アレクサンダーは、かつての仲間ディムの名前にこだわり、アレックスが妻を襲った一人だったと「ほとんど信じかけている」と言います。アレックスは、自分も仲間の罪も、償ってきたと答えます。三人の男は、アレックスを新しい住まいとなる部屋へ車で連れて行きます。そこで彼は、何年も聞いていなかった交響曲で目を覚まします。最初は喜びますが、やがて吐き気に変わり、壁を叩いて手から血が出るまで音楽を止めてくれと訴えます。ついに窓を開け、通りへ飛び降ります。この章で問いは、アレックスが何をしたかから、他人が彼をどうしたいのかへ移ります。

第3部 第6章 「治った」とされた日

アレックスは、重い包帯を巻かれたまま病院で目を覚まします。悪い評判を恐れた政府は、いまや彼に取り入ろうとします。医師たちは絵や言葉を見せて反応を調べ、彼の昔の反応が戻っていることを確かめます。治療は元に戻されていたのです。内務大臣は記者を連れて現れ、彼と握手をし、よい仕事を用意し、ステレオを持ち込ませます。音楽が流れると、彼は再び喜びに満たされ、自分は「ちゃんと治った」のだと受け止めます。国家の治療は、こうして公の出来事になるのです。

第3部 第7章 大人になること

十八歳になったアレックスは、国の音楽資料館で働き、夜は新しい仲間のレン、リック、ブリーとコローヴァで過ごしています。最年長の彼が指図する立場ですが、ブリーが主導権をほしがっているのを感じています。彼は雑誌から切り抜いた赤ん坊の写真を持ち歩いていて、仲間にそれを破られます。仲間が強盗を計画すると、アレックスは自分抜きでやるように言い、一人で店を出ます。歩きながら、自分はやわになったと考えます。喫茶店で、かつての仲間ピートに会います。ピートは十九歳で結婚しており、大人の話し方をします。アレックスは、自分もこの暮らしを卒業する時期なのかと考え、妻と幼い息子のいる家を思い描きます。息子が自分のようになるかもしれず、それを止められないだろうとわかっていても、妻を探そうと決めます。この最終章は、アレックスの変化の源が国家の治療ではなく、本人の成長にあることを示しています。

登場人物

  • アレックス:語り手で、十五歳で仲間のリーダーを務めます。ナッドサットで話し、賢く残酷で、どこか陽気です。第3部では十八歳になり、仲間を離れて生きようとします。
  • ピート:仲間の中でいちばん落ち着いた声の持ち主です。第1部ではディムを殴ったことに異を唱え、のちには仲間の「新しいやり方」を説明します。結婚して、ごく普通の暮らしに落ち着きます。アレックスにとって、たどり着けたかもしれない結末の見本です。
  • ジョージー:アレックスのリーダーの座に皮肉を込めて異を唱え、マンスへの押し入り計画を持ち出します。アレックスが服役中に、失敗に終わった強盗で亡くなります。
  • ディム:自転車の鎖を武器にする腕っぷしの強い仲間です。アレックスを裏切り、のちに警官となって、田舎で彼を殴りつけます。
  • P・R・デルトイ:アレックスの「矯正後の保護観察官」です。逮捕後の彼に唾を吐き、人間ではなく物を見るような目を向けます。
  • F・アレクサンダー:アレックスが荒らした家の作家です。襲撃のあと妻を失い、深く傷つきます。のちにアレックスを政府に対する象徴として使おうとします。
  • 教誨師:刑務所の教誨師で、善は選びとるものだと語り、選ぶ力を失った人間が善人といえるのかを問います。彼の疑いが、第2部に道徳の声を与えています。
  • ブロドスキー博士とブラナム博士:ブロドスキーがルドヴィコ療法を率い、アレックスの反応を注意深く見守ります。ブラナムはその助手で、治療の内容をアレックスに説明します。
  • 内務大臣:犯罪を減らすという名目で治療を後押しし、のちにアレックスを成功例として記者に見せる人物です。

感想文のヒント

読書感想文を書くなら、あらすじを順に並べるのではなく、ひとつの問いから書き始めるとよいでしょう。たとえば「アレックスは自分で選んで変わったのか、それとも強制されて変わったのか」という問いです。この問いに答えるため、第1部と第3部の章を一つずつ選び、アレックスの語り口や行動がどう違うかを比べてみてください。二つの章を並べると、答えの手がかりが見えてきます。

ことばに注目するのも有効です。作中のナッドサットは、暴力を軽やかなものに見せます。作者がなぜ陽気な語り手を選んだのか、そしてその選択が読者の感じ方にどう影響するのかを考えてみてください。

第2部第1章で教誨師が語る「選ぶこと」と、第3部最後の章でのアレックスの考えを比べることもできます。引用するときは英語の原文から短く引き、部と章を示すと説得力が増します。あらすじの紹介で終わらせず、あなた自身の考えを書くことが感想文の核になります。

アクション

今日から実践できるステップ:

  • 第1部第1章と第3部最後の章を並べて読み、アレックスの語り口がどう変わったかを確かめてみましょう。

  • 物語の各段階で誰がアレックスの運命を決めているのか、そして彼に意見を聞く場面があるのかを考えてみましょう。

  • 教誨師の自由意志についての考えと、犯罪を減らすことだけを目指す役人たちの考えを比べ、どちらの議論が説得力を持つかを判断してみましょう。

  • 最後の章を使って、成長によって変わることと、国家の更生プログラムが約束することの違いを論じてみましょう。

注目すべき引用

"「で、どうするつもりだ?」(第1部第1章)"

— Anthony Burgess

"「善とは選びとるものだ。選べなくなったとき、人は人でなくなる。」(第2部第1章)"

— Anthony Burgess

"「ちゃんと治ったんだ。」(第3部第6章)"

— Anthony Burgess

おすすめの読者

暴力や自由について考える高校生以上の読者におすすめです。ディストピア小説や、善と自由意志の問題を学ぶ授業で読む人にも向いています。暴力と性的な犯罪の描写が強いため、年少の読者は先生や保護者と一緒に読むとよいでしょう。

よくある質問

『時計じかけのオレンジ』は実話に基づいていますか?

いいえ、フィクションです。ただし作者のバージェスは、第二次世界大戦中のイギリスで、最初の妻リンがアメリカ人兵士の集団に暴行された出来事が、この小説のきっかけになったと語っています。ルドヴィコ療法や国家の実験は、物語のために作られたものです。

作中の「ナッドサット」とは何ですか?

アレックスたちが話す、作者が作った若者言葉です。名前は、ロシア語で英語の「-teen」にあたる接尾辞に由来します。「ドルーグ」は仲間、「ホラーショー」はすばらしいという意味です。語彙はロシア語や英語、韻を踏んだ俗語が混ざっています。多くの場面では文脈から意味がつかめるので、用語集がなくても読み進められます。

なぜ全21章なのですか?

全体は三部それぞれ七章、計21章の構成です。バージェスは、この数を成人の年齢である21歳にちなんだものだと語っています。最終章では、十八歳のアレックスが大人になり始めます。この章は長いあいだアメリカ版で省かれていたため、結末の意味を考えるうえで大切です。

キューブリックの映画と原作は同じですか?

同じではありません。スタンリー・キューブリック監督の1971年の映画は、最終章を省いたアメリカ版をもとにしているため、アレックスが大人になる場面は描かれません。細部にも変更があり、二つの作品は違う地点で終わります。

ルドヴィコ療法とは何ですか?

作中で国家がアレックスに行う架空の治療です。暴力的な映像を見せながら薬で吐き気を起こさせ、暴力を思い浮かべるだけで気分が悪くなるように条件づけます。そのため、クラシック音楽まで嫌悪するようになります。作者はこの治療を通して、善を強制された人に本当の選択があるのかを問うています。

理解度チェック

答えを選ぶと、正解かどうかがわかります。

  1. アレックスたちがミルクバーで飲んでいる、薬入りのミルクの名前は何ですか?

  2. アレックスが刑務所で受ける治療の名前は何ですか?

  3. アレックスが再会したとき、結婚して落ち着いた暮らしを送っていたのは誰ですか?

  4. アレックスが作家の家で破り捨てるものは何ですか?

  5. 小説は全部で何章ありますか?

Anthony Burgess について

アントニイ・バージェス(1917〜1993)は、マンチェスター生まれのイギリスの作家です。小説や評論、作曲など幅広く手がけ、ことばへの鋭い関心でも知られています。『時計じかけのオレンジ』は1962年に発表された代表作で、暴力と自由意志をめぐる問いを投げかけています。

要約作成者

Alex Ng
Alex Ng

Software Engineer & Writer

Software engineer with a passion for distilling complex ideas into actionable insights. Writes about finance, investment, entrepreneurship, and technology.

すべての要約を見る →

レビュー

レビューはまだありません。最初のレビューを書きましょう!

レビューを書く

続けて読む

このテーマを探る: フィクション

要約

記事